臨床検査科
基本理念と基本方針
基本理念
病院基本理念に立ち地域の皆さんに安心・信頼される臨床検査科を目指します。
基本方針
- 精度の高い正確・迅速な検査に努めます。
- 安心で安全な医療の提供に努めます。
- 積極的に業務改善に努め、病院内での業務連携を図ります。
- 医学の進歩に対応した知識と技術を習得し、質の高い検査情報を提供します。
- 経営効率を高めるよう創意工夫に努めます。
患者さんへお伝えしたいこと
検査に関する疑問・質問等がございましたらお気軽に声をかけてください。資料をもとにお話ができればと思います。
国際規格ISO15189認定取得のお知らせ
飯田市立病院臨床検査科は、2019年2月19日付で公益社団法人 日本適合性認定協会から臨床検査国際規格ISO 15189の認定を受けました。
臨床検査は、血液や細胞の検査、感染微生物の特定など疾病の診断の前提となるものであり、正確で精度の高い検査が求められます。ISO15189はこれらの品質や能力を有することを第三者機関が認定するものであり、当院は県内の病院として初めての認定となりました。この認定により、品質・精度が保証された検査の提供が可能となり信頼性の向上が図られます。
今回の認定取得がゴールでなく、これからもISO 15189の規格に従って検査精度と品質管理の維持向上に努め、地域の皆様に良質な医療を提供してまいります。
*ISO 15189について
ISO 15189は国際標準化機構(ISO)による臨床検査室の品質管理に特化した国際規格であり、「品質マネジメントシステムの要求事項」と「臨床検査が請け負う臨床検査に応じた技術能力に関する要求事項」の2つから構成され、検査結果の精密性や正確性、検査の所要時間、臨床医・患者さんへの対応などが審査の上認定されます。(認定書)
業務の内容
臨床検査科は、病気の診断や治療方針を決めるうえで、欠かすことできない検査データを「迅速かつ正確」に提供しています。当科は30名の専門スタッフから成り、検査の種類や検査方法などによって、1階中央検査室に採血室、生化学、血液、免疫血清、微生物・遺伝子、輸血、一般検査部門と、生体検査を行う生理機能検査部門、2階に病理検査部門から構成され、随時検査項目を見直し、実施項目を増やすなど、良質な医療の提供に努めています。また、通常業務の他に、糖尿病教室、感染制御チーム、栄養サポートチームなどを通し、患者さんの治療に貢献すべく、認定資格を習得するなど検査精度の向上に努めています。近年では、救急センター設置に伴い緊急臨床検査士認定資格の取得を基本とし、24時間体制を整えています。
検体検査部門
採血室(1階 80番)
採血・検尿の受付は自動受付機にて行います。採血の整理券と検尿コップが発行されます。
採血室には6席の採血台が配備されています。採血中に気分が悪くなった場合や、貧血などの症状が出た場合でも後方に倒れることが無いように配慮しています。
車イスに座ったまま採血することも可能です。
生化学検査・免疫血清検査
血液や尿等の多くの検体には、蛋白質・脂質・電解質・酵素・ビタミン・ホルモン等、様々な代謝産物が存在しています。それらの物質の量的・質的変化や、健常人には出現しない物質の出現状況などから、循環器系・泌尿器系・内分泌系・神経系・免疫系・代謝系などの多くの臓器の機能異常や病態を知る事が出来ます。また、検査を反復実施する事で、病態の変化、予後の推定および治療法の選択・経過観察などの重要な指標となります。
B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス、HIV検査等の感染症関連の検査を行っています。また免疫反応を利用して、甲状腺ホルモン、腫瘍マーカーなど広範囲の検査を行っています。
血液検査
血液中の有形成分である赤血球・白血球・血小板の数やその形態を検査する形態学的検査と、出血傾向や血栓の有無を検査する凝固検査を中心に、貧血やその他様々な血液疾患の診断や病態を知る上で重要な検査を行っています。
一般検査
尿検査は、蛋白質・糖・潜血等といった化学反応で捉えるものと、有形成分である結晶(尿酸など)や白血球・赤血球・上皮細胞等といった形態検査から成り、腎臓・尿路系疾患はもとより全身性疾患のスクリーニングに欠かせない検査です。また便の検査では消化管の出血や寄生虫の検出等の検査を行っています。その他、関節液・腹水・胸水等の穿刺液の検査も行っています。
輸血検査
安全な輸血を行うために、輸血を受ける患者さんの血液型(ABO・Rh)を再確認してから血液製剤を用意し、血液製剤と患者さんの血液が適合するかを交差試験で確認をしています。
微生物・遺伝子検査
一般細菌、抗酸菌、真菌等における各種染色・分離培養・同定検査・感受性(微量体液希釈法)・食中毒関連菌(サルモネラ菌・赤痢菌・エルシニア菌・腸炎ビブリオ・コレラ菌・黄色ブドウ球菌・カンピロバクター・O157大腸菌等)・耐性菌の検出(MRSA・VRE・ESBL・BLNAR・PRSP・MDR-P 等)・ロタウイルス抗原・アデノウイルス抗原・糞便中CD抗原検査、尿素呼気試験(ピロリ菌)等を行っています。この他クラミジア・結核菌など遺伝子レベルで病原体の確認検査をしています。
生理検査部門
生理検査部門は、循環機能検査・呼吸機能検査・神経機能検査などを行っている部門です。
循環機能検査では 心電図・心臓超音波検査・ABI(動脈硬化検査)などを、呼吸機能検査では肺機能検査・簡易睡眠時無呼吸検査・一酸化窒素濃度検査などを行っています。
神経機能検査では 脳波検査・筋電図検査などを行っています。その他に、聴力検査・ 体組成検査などをおこなっています。
チーム医療では、周産期外来での胎児エコー検査、脳神経外科や整形外科の手術中における神経機能モニタリングなども行っています。
病理検査部門
病理組織検査
内視鏡検査などで採取された組織や手術で摘出された臓器から、顕微鏡で観察するための標本を作製します。この標本をもとに病理医が診断をします。また、手術中にがんの転移の有無や切除範囲を決定するための術中迅速診断も行われています。
近年では、がん遺伝子パネル検査が行われ、がん細胞に起きている遺伝子の変化を調べることで一人ひとりに適した治療法が検討されています。
細胞診検査
細胞診断の認定技師である細胞検査士が、患者さんから採取した細胞を観察し診断をします。尿や喀痰に含まれる細胞や、甲状腺、乳腺、リンパ節、子宮頸部などから採取することがあります。
病理解剖
ご遺族の承諾のもとに、生前診断の治療効果や死亡原因などを解明する目的で病理医の助手を務めながら解剖をさせていただきます。結果は、解剖を行った病理医から主治医へ報告され、ご遺族に説明されます。
臨床検査科だより【臨床検査の窓】
資格等
緊急臨床検査士 | 16名 | |
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細胞検査士 | 6名 | |
超音波検査士 | 5名 | |
日本糖尿病療養指導士 | 3名 | |
消化器内視鏡技師 | 1名 | |
二級臨床検査士(微生物学) | 2名 | |
二級臨床検査士(物理学) | 1名 | |
二級臨床検査士(呼吸生理学) | 1名 | |
認定病理検査技師 | 3名 | |
認定心電検査技師 | 3名 | |
認定輸血検査技師 | 1名 | |
認定認知症検査技師 | 1名 | |
認定一般検査技師 | 1名 | |
特定化学物質作業主任者 | 2名 | |
毒物劇物取扱責任者 | 1名 | |
有機溶剤作業主任者 | 1名 | |
長野県DMAT | 3名 | |
日本DMAT | 1名 |
臨床検査を終了した検体の再利用について
飯田市立病院臨床検査科では、患者さんに良質かつ安全な医療・検査の提供を目指し、高精度機器の導入、各種検査項目の精度管理、検査技師の技術および知識向上の研鑽に日々努めております。これらの取り組みは、患者さんから採取させていただいた血液や尿などの検査後の検体を用いることで可能となり、検査精度の向上のみならず日常診療さらには臨床医学の発展に貢献できるものと考えております。以下の趣旨につきましてご理解いただくとともに、検査後の検体再利用へのご協力をお願い申し上げます。
【対象】 飯田市立病院臨床検査科で検査が終了した患者さんの検査済み検体の一部
【方法】 個人情報を削除したうえで下記の内容について利用いたします。
1. 臨床検査用試薬および測定機器の性能評価
2. 臨床検査項目の基準値の設定および検証
3. 臨床検査における研究目的
【倫理的配慮】
臨床検査医学会の見解「臨床検査を終了した検体の業務、教育、研究のための使用について」を遵守いたします。検査終了後の廃棄予定の余剰検体を使用するため、患者さんに不利益をおよぼすことはありません。検体の個人情報はすべて削除してから利用しますので、個人情報が漏れることはありません。
研究目的に使用した結果は学会発表や論文に発表させていただくことがありますが、その際も個人情報はすべて削除されています。検体の再利用にご協力いただけない場合においても、患者さんの診療に不利益を受けることはありません。また、再利用は検査後の残り検体を利用しますので、診療に必要とされる検体量以上を採取することも一切ありません。
以上の趣旨にご協力いただけない場合は、大変お手数ですが当院臨床検査科までお申し出てください。お申し出がない場合は、ご承諾いただいたものと判断し、残りの検体を再利用させていただきます。
令和4年6月 飯田市立病院院長 堀米直人
【問い合わせ先】 飯田市立病院 診療技術部長兼臨床検査科長 實原正明 電話 0265-21-1255(代表)