呼吸器外科のご案内

特色

呼吸器外科では原発性肺癌や転移性肺腫瘍などの肺悪性腫瘍の手術を主体に、気胸、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍などに対する手術治療も行なっています。ほぼ全ての手術を胸腔鏡手術で行なっており、信州大学呼吸器外科などと連携して呼吸器外科専門医が手術を施行しています。胸腔鏡手術は全身麻酔下に1～4㎝の創を3～4か所設けて行う低侵襲手術です。

主な対象疾患

原発性肺癌

原発性肺癌は腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌などの組織型があり、腫瘍の大きさや性状、リンパ節や他臓器への転移などにより進行度がⅠ期からⅣ期に分類されます。主にⅠ期、Ⅱ期の非小細胞肺癌が手術治療の対象となりますが、体の状態なども考慮して個々に応じた治療方針を決定します。
進行肺癌症例では手術だけでなく、呼吸器内科や放射線科と連携して化学療法や放射線治療を含めた集学的治療を行っています。

転移性肺腫瘍

主に大腸癌や直腸癌、腎細胞癌などの肺転移が手術対象となりますが、原発部に再発がなく肺以外に転移がないことなどが条件となります。根治性を確保したうえで、できるだけ呼吸機能を温存するように手術を行います。

縦隔腫瘍・胸壁腫瘍

胸腺上皮性腫瘍や神経原生腫瘍、孤立性繊維性腫瘍などが手術の対象となります。良性の嚢胞性疾患（胸腺嚢胞や気管支嚢胞など）も、経過や状態によっては手術治療が必要になる場合があります。縦隔リンパ節の生検も行います。

気胸

気胸には若年者に多くみられる自然気胸と、高齢者に多くみられる肺気腫や肺線維症を原因とする続発性気胸があります。どちらの気胸であっても、手術が必要な場合には速やかに準備ができるように、多くの症例を呼吸器外科で対応しています。気胸を発症した場合はまず胸腔ドレナージ（胸腔内に細い管を挿入し、肺から漏れ出した空気を体外に排出して肺を拡げる処置）を行います。空気漏れが止まらない場合や再発症例では手術治療が必要です。

その他

膿胸や非結核性抗酸菌症などの炎症性疾患に対する外科治療にも対応しています。

診療実績

呼吸器外科の手術は年間約70〜80件です。内訳は肺悪性腫瘍が約70％、気胸が約15％、その他の疾患（縦隔腫瘍、炎症性疾患、外傷など）が約15％です。