現代版養生訓

2019年の現代版養生訓

1月

市立病院 心臓血管外科 月岡勝晶 医師

座っている時間が長い人は、早死に?

最近、こんな記事を目にしました。なんでも、アメリカで13万人の人を20年間追跡した調査で、1日の余暇を6時間以上座って過ごす人は、3時間以内の人に比べ早期死亡の危険が19%増すというのです。

実は、イギリスでは2011年に世界に先駆け、「座りすぎガイドライン」と題し、1日の就業時間中2時間(理想は4時間)は座る時間を減らすように呼びかけていました。また、オーストラリアでも同様の研究結果が発表され、1日8〜11時間座っている人で15%、11時間以上座っている人で40%の総死亡リスクの増加があるそうです。しかもこのリスクは、WHO(世界保健機関)が推奨する日々の運動をしても消えないとのことで、運動しているから1日座りっぱなしでも大丈夫ということは決してないとのことです。

座り過ぎが関与する病気としては、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、はてはアルツハイマー病や自殺まで多岐にわたるそうです。これまで、これらの病気に対し、日頃の注意事項として、たばこやお酒を控え、魚や野菜を食べて、運動しましょうとよくいわれていましたが、これからは、とにかく座り過ぎに注意しましょう、といわれるのでしょうか。

シドニー大学の研究では、日本人の平均座位時間は7時間と、残念ながら対象20カ国の中で最も長かったそうです。ただ、いま私たちの中で、急に座る時間を減らすのは難しい方もおられるでしょう。そんな方には、先の研究では、30分から1時間に1回は、3分ほど歩き回るといいそうです。ちょっとした日々の気晴らしが、実は健康寿命にとって大事なことなのかもしれません。

 

2月

市立病院 脳血管内治療科 木内貴史 医師

脳梗塞で寝たきりにならないために

日本における寝たきりの原因第1位は脳卒中です。脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称で、脳卒中の7割以上を脳梗塞が占めています。

脳梗塞とは、脳の血管が詰まり、その先の脳が壊死してしまう病気です。原因は大きく分けて2つあり、一つは動脈硬化によって脳の血管が詰まってしまうもの(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞)、もう一つは心臓などから血栓が飛んできて脳の血管に詰まってしまうもの(脳塞栓症)です。そのうち脳塞栓症は重症であることが多く、大きな血栓が詰まると突然重度の半身まひと言語障害が出現し、救急車で運ばれることになります。

従来は血栓が詰まったまま脳梗塞が完成して寝たきりになってしまうことが多かったのですが、ここ数年でステント型や吸引型の血栓回収機が日本で使えるようになり、多くの患者さんを救うことができるようになってきました。血栓をほとんど、または全て回収できるのが8割から9割くらい、そのうち自立した生活ができるレベルまで回復できるのが3割から5割くらいです。これは血栓を溶かす薬単独で治療した場合よりも2倍近い成績です。この治療は、「血管が詰まってから脳細胞が死んでしまうまでにどれだけ早く詰まりを取れるか」が一番の肝であり、早ければ早いほど回復する可能性が高くなります。もし自分の家族が目の前で半身まひ、言葉がおかしいといった症状が出たら、迷わずに救急車を呼んでください。迷っている10分20分が運命の分かれ目になるかもしれません。

 

3月

市立病院 乳腺内分泌外科 清水忠史 医師

乳がんの治療

日本において乳がんは、患者数、死亡数共に年々増加傾向にあり、女性がかかるがんの第1位が乳がんです。がん治療の中でも乳がんの治療はとても重要です。

乳がんは、手術、放射線療法、内分泌療法、化学療法を組み合わせて治療します。

手術は、乳房全切除と部分切除のどちらかを選択します。全切除は、乳頭や乳輪も含めて乳房をすべて切除する手術です。対して部分切除は、腫瘍とその周囲の乳房を部分的に切除して、残りの乳房は温存する手術です。乳頭や乳輪も温存できますが、術後に放射線療法を組み合わせます。

内分泌療法と化学療法は、乳がんの転移再発を治療または予防する全身治療として行われます。通常は手術の後に行いますが、現在では手術の負担を減らす目的で、手術の前に行う患者さんも増えています。

内分泌療法は、乳がんの発育の原因となり得る女性ホルモンを抑える治療で、比較的負担が少ない治療です。

化学療法(抗がん剤)は、がん細胞を攻撃する薬を使用するため、効果は高いですが負担も大きい治療です。特定のタンパク質だけを限定して攻撃する、比較的副作用の少ない「分子標的薬」も複数使用されています。現在、さまざまな抗がん剤や分子標的薬が医学的に効果があると証明され、乳がん治療に使用されています。

乳がんの標準治療は、がんの性状や患者さんの状態に合わせて、これらの治療を組み合わせて行います。日本の乳がんの標準治療は年々進歩しています。我々は乳がん治療について患者さんに正しく理解していただき、より効果の高い治療を選択していただけるよう日々邁進しています。

 

4月

市立病院 整形外科 伊坪敏郎 医師

子どものスポーツ障害予防について

ちまたでは、ダイエットや肥満治療の目的で、さまざまな運動、スポーツの話題があふれています。「最近太ってきたから運動しないといけないな」と思っている方も多いでしょう。でも待ってください。本来スポーツは楽しむものであり、嫌々するものではないですよね?子どもの頃はスポーツすることが楽しくて、夢中になってした記憶がある方が多いと思います。

そんなスポーツをしていて、どこかが痛い、ましてや後遺症を残すようなことは、決してあってはなりません。もちろん子どもたちのスポーツでは、勝つ喜び、負ける悔しさを感じることは大事だと思います。しかし、いわゆる「勝利至上主義」といわれる子どもの体や成長を無視したスポーツ活動は、最近徐々に問題視されるようになってきました。高校野球でいえば、甲子園の過密スケジュールや、投手の投げ過ぎ問題についても、改善策が始まろうとしています。

どこか痛ければ病院に行けばよい、といった単純な問題ではありません。子どもたちの中には、痛くても指導者や保護者にそれを伝えない子どもは多々います。指導者や保護者が怖かったり、レギュラーになるためであったりと、理由はさまざまです。

昨今、子どもたちのスポーツ障害を予防する事業が全国各地で始まっています。これらは医療者、指導者、保護者など、大人が子どもたちの身体を守るために立ち上げた取り組みです。ぜひ皆さんも、子どもたちの体のちょっとした変化に目を向け、障害予防につなげていきましょう。未来を担う子どもたちのスポーツ障害は、大人たちの考え方や取り組みで予防できるのです。

 

5月

市立病院 形成外科 平沢千尋 医師

乳房再建をご存じですか

乳がんが、女性のがんの中で最多となり、乳がんや乳房再建についてメディアで取り上げられる機会が増えてきています。

「乳房再建術」とは、字のごとく、乳がんなどで切除してしまった乳房をもう一度作る手術です。乳房のふくらみを作るため、自分の筋肉や脂肪を移植する再建術と、シリコンを使った再建術が健康保険で認められています。

自分の筋肉や脂肪を使う手術も、シリコンを使う手術も、それぞれに利点・欠点があります。自分の体の一部を使うと柔らかく温かい胸ができますが、胸以外の部位に大きな傷が残ります。シリコンを使う場合は他部位に傷はできませんが、乳腺切除と同時のシリコン挿入はダメージが大きいため、何回かの手術が必要になります。また、患者さまの体格や生活様式によっても向き不向きがありますので、十分に診察と説明を行い、納得いただいてからの手術となります。

どちらの方法にしても、まずは乳がん治療が優先されます。乳がん手術との同時再建は、再建しても乳がん治療に影響がないと判断された方が対象になります。乳がんの治療が一段落した後、改めて乳房を作る二次再建も可能です。

乳房再建をする・しないの選択は、患者さまそれぞれの考え方や生き方によってご自分で決めていただくもので、どちらが良い悪いというものではありません。ですが、体の傷跡や変形に対する苦しみというものは、周囲が思う以上に精神的負担をもたらしていることがあります。もし、あなたやあなたの身近な方が、乳房を失うこと、失ってしまったことに心を痛めていらっしゃったら、再建について考えてみることができるかもしれません。乳腺外科・形成外科にご相談ください。

 

6月

市立病院 小児科・新生児科 松浦宏樹 医師

「三つ子の○○百まで」は魂だけじゃない!?

皆さんは「三つ子の魂百まで」ということわざをご存じでしょうか?これは「幼い頃の性格は年を取っても変わらない」ことを意味することわざです。非常によく知られたことわざですが、これは子どもたちの体格にも言えることであるのはご存じでしょうか?
まずは身長についてです。一般的に子どもたちは3歳を過ぎた頃からその子の持って生まれたペースで身長が伸びていきます。そして二次性徴期を迎え、成人になってからの身長が決まります。一般に二次性徴期に伸びる身長はおよそ決まっていますので、それ故3歳頃の身長が小さい子は大人になった時の体格も小柄になる確率がとても高いのです。
次に肥満についてです。子どもの時に肥満の状態にある人は、成人期も肥満である確率が高い、とされています。報告の中には、3歳時に肥満だった場合が成人肥満と一番関連がある、とされるものもあります。
また、体重(㎏)を身長(m)で2回割り算をして計算して求める「BMI」という体重の指標があります。これは成人では25を超えると生活習慣病が増えることが知られています。子どもた
ちは生まれてからこのBMIが徐々に下がっていき、5、6歳を超えてから緩やかに増えていきます。このBMIの「増え始め」年齢が早いほど、大人になってからの生活習慣病リスクが高いことが分かっています。
このように、3歳までに健康的な食習慣、生活習慣を身に付けることが大人になってからの健康にも影響します。子どもたちの将来の健康のためにも、小さな頃からバランスの良い食生活を心掛けていきたいですね。

 

7月

市立病院 皮膚科 上條史尚 医師

水虫のはなし

水虫は、とてもポピュラーな感染症です。昔は「お父さんの病気」というイメージがありました。しかし、生活様式の変化に伴って感染の機会が増え、男女を問わず、また若い人にもよくみられます。今では日本人の5人に1人が感染しているという調査結果も出ています。水虫は医学的には足白癬を意味し、手の水虫は手白癬と呼ばれています。この白癬というのは、「白癬菌」というカビの仲間によって起こる感染症です。「白癬菌」は皮膚の表面に存在する角層に寄生します。毛や爪も皮膚の角層が変化したものですので、この部位にも寄生します。

水虫の病型分類には、趾間型、小水疱型、角質増殖型があります。趾間型は、最も多い病型で、足指の間が白くふやけて皮がむけます。乾燥したタイプもみられます。小水疱型は、土踏まずや足のふちの一部に赤みを伴った小さな水ぶくれができます。角質増殖型は、足底の全体、特に踵の部分の角質が厚くなり、表面に細かいカサカサが認められます。

水虫を放置しておくと、他の部分にも広がって治りにくくなるばかりでなく、周りの人にもうつしてしまいます。診断は簡単な検査をすればすぐに水虫かどうかが分かります。適切な薬を根気よく塗り続ければ、水虫は完治します。治ったら再感染を防ぐことも重要です。家族に水虫の人がいれば、再感染の危険性は大!家族全員で治療に取り組みましょう。白癬菌が付着しても、健康な皮膚の角層に侵入するまでは、1日ほどかかるといわれています。つまり、白癬菌が皮膚に長い間付着し続けて、高温多湿などの条件が整うと、水虫になるのです。清潔を心掛け、毎日せっけんで丁寧に洗い、しっかり乾燥させる習慣をつけましょう。

 

8月

市立病院 泌尿器科 中藤亮 医師

精索捻転

泌尿器科で緊急の対応を必要とする病気の一つに、精索捻転があります。これは、精巣の血管と精管(精子の通り道)の束である精索がねじれることで、精巣に血液が届かなくなり、精巣の細胞が死んでしまう病気です。症状としては、突然精巣の痛みが生じます。典型的には激痛となります。腹痛や吐き気がある場合もあります。時間が経つと陰嚢が腫れたり赤くなったりしますが、発症直後は見た目の変化はありません。生活や行動面で原因になることは特になく、思春期くらいの年齢を中心に、20代くらいまでの男子に発生します。

壮年以降の男性に発生することはほとんどなく、そういった男性で精巣が痛くなる場合には、精巣上体炎といわれる細菌感染のことが多いです。診断は、主に診察と超音波検査で精巣の血流を確認することで行われます(子どもでも超音波検査の結果、精巣上体炎と診断されることがあります)。治療は、まずねじれが取れるように精巣を動かしてみますが、ねじれを戻せないことが多いです。その場合は緊急手術で精索のねじれをとり、ねじれないように精巣と陰嚢の内側を縫って固定します。

発症から時間が経つと、精巣の細胞が死んでしまい、手術をしても精巣の機能(精子を作ることと男性ホルモンを作ること)が低下してしまいます。発症から6時間以内の手術が望ましいといわれており、時間との勝負になります。お子さんに突然精巣の強い痛みが生じた場合には、市立病院泌尿器科または救急外来までご連絡ください。

 

9月

市立病院 産婦人科 大平哲史 医師

妊娠中は「適度に」体重を増やしましょう

日本人の赤ちゃんの出生時体重は、この40年間で約200グラム減少しました。1980年の平均出生体重は3200グラムでしたが、2017年の平均は3000グラムでした。同時に、体重が2500グラム未満である低出生体重児の割合は増加傾向で、1980年は4.6%でしたが、2017年の低出生体重児の割合は9.4%まで増加しています。これは早産の赤ちゃんが増えているためではなく、満
期産の小さい赤ちゃんが増えているということです。赤ちゃんの体重が少ない原因として、妊娠前からやせている母親が増えていること、また妊娠中の母親の体重増加が少ないことが影響しているのではないかといわれています。

「小さく産んで大きく育てる」という考え方がありますが、低出生体重児であった赤ちゃんは、その後育って成人になってから、肥満・高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病になりやすいのではないかという研究があり、現在盛んにその検証が進められています。すなわち、生活習慣病のなりやすさは胎児期にすでに形成されていて、母親のやせや体重増加不良がその原因なのではないかということです(小さく生まれた赤ちゃんが皆病気になるというわけではありません)。わが国では歴史的に、妊婦さんに対して厳しい摂取カロリー制限や体重増加を抑える指導がなされてきましたが、これらが見直されるべき時がきているといえます。

厚労省は、個人差はあるものの、普通の体格の妊婦さんの適正な体重増加量は7〜12キログラムとしています。適正な体重の赤ちゃんを産んで、その子が将来健康に育つように、妊婦さんにはバランスのとれた栄養素の摂取が勧められています。

 

10月

市立病院 眼科 森俊男 医師

放っておいても大丈夫?飛蚊症のはなし

「目の前にごみのようなものが見える」と感じたことはありますか?私たちの目の中には、硝子体と呼ばれる透明なゼリーのような組織が詰まっています。硝子体は加齢とともに性状が変化して〝濁り〞が生じ、これが目の奥の光を感知する網膜に影絵のように投影されることで、私たちは飛蚊症を自覚します。飛蚊症の見え方は、字のごとく「蚊が飛んでいるように見える」だけではなく、糸くずや煙のように見えたり、カエルの卵のように見えたりと人それぞれです。また、目の動きに合わせて硝子体も動くため、まばたきをした時などにフワッと上下に動いて見えるのが特徴的です。

ほとんどの飛蚊症は、このような硝子体の加齢現象による〝生理的飛蚊症〞と呼ばれるもので、「時々見える」「2、3個程度見える」くらいの軽い症状が多く、放置しても特に問題はありません。ただ、中には放置すると危険な〝病的飛蚊症〞が潜んでいますので、注意が必要です。

病的飛蚊症を起こす代表的な病気としては、網膜剥離や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などがあります。硝子体の中に網膜の色素や出血が舞い散ることで飛蚊症が生じ、早急に処置をしないと重篤な後遺症が残ることもあります。この場合は、「日に日に数が増えていく」「急に無数の飛蚊症が見えだした」など急激な変化を起こすことが多く、なるべく早く眼科受診をお勧めします。

生理的飛蚊症に関しては〝病気〞ではないため一般的には治療の適応はありません。ただどうしても気になって生活に支障を来すような方は、手術で硝子体の濁りを取り除く方法や、まだ日本では未承認ですが、飛蚊症専用の特殊なレーザー治療を保険外診療で行っている施設もあります。飛蚊症でお困りの方は、一度お近くの眼科で目の中を調べてもらいましょう。

 

11月

市立病院 耳鼻咽喉科 塚本耕二 医師

補聴器について

補聴器は普通の会話が聞き取りにくくなった時に、聞き取りやすくするための医療機器です。小さな声を拡大して聞くためのものではありません。
自分自身や家族に補聴器が必要か、効果があるかを医師の診察を受けずに正確に決めることは困難です。日常の音に対する生活環境、会話環境、聴力検査の結果などを総合して判断することが必要です。
日本耳鼻咽喉科学会では、学会認定の補聴器相談医の診察を受けて、補聴器装用の可否を決めるように推奨しています。補聴器の形態には、主に箱型、耳掛け型、耳穴型があります。耳穴型は最も多く使われており、運動に適しています。また、眼鏡をかけるときの邪魔にならない、目立ちにくいなどの利点があります。欠点としては、装置が小さいため、音量調節などの操作がしにくい、価格が高いなどがあります。耳掛け型は比較的目立ちにくく、軽度難聴者から高度難聴者まで適応がありますが、眼鏡がかけにくいなどの欠点もあります。
箱型も軽度難聴者から高度難聴者まで幅広い適応があり、大きいので操作性が良く、値段が安いなどの利点があります。欠点としては、大きく目立ちやすい、コードが邪魔になることです。
補聴器の価格には大きな開きがあり、高ければ良いというものではありません。医師の正しい方針とそれに従った補聴器技能者の調整が必要になります。生活に必要な機能を備えた補聴器を購入し、補聴器技能者に正しく調整してもらうことが必要です。補聴器は安い機器ではありませんので、きちんと調整して補聴器を上手に使いこなすようにしましょう。

 

12月

市立病院 放射線診断科 野中智文 医師

放射線診断医とは

「放射線科医って何をしているの?」妻の母親からこう質問されたことがあります。

放射線科医には2種類あり、放射線診断医と放射線治療医に分かれています。今回は放射線診断医についてお話しします。
放射線科診断医は、皆さんがよく診察室や病室で目にする先生(以下、臨床医)とは違い、診察を行ったりお薬を出したりすることはほとんどありません。主な仕事は皆さんが撮影されたCTやMRIの画像を見て、病気を見つけることです。撮影された画像は臨床医の先生も目を通しますが、私たちも画像を見て、協力して病気を見つけているのです。
このように臨床医の先生を助けること(ドクターズ・ドクターといいます)が放射線診断医の仕事となっています。一例として外来診察を挙げてみます。市立病院の外来は混み合うことが多く、皆さんも待たされることが多いのではないでしょうか。外来の先生たちは限られた時間の中で、忙しく診療をされています。この上、撮影された画像(CTは多いと数千枚になります)に隅々まで目を通していると、さらに時間がなくなったり、病気を見落としたりする恐れがあります。
これらを防ぐために、私たちと協力して画像を見ることでミスを減らしつつ、比較的スムーズな外来診療を行うことができるのです。放射線診断医が絶対必要かと言われると必ずしもそうではありません。

内科や外科の先生は大きい病院に不可欠ですが、私たちがいなくても病院を運営することは可能です。しかし、私たちがいることで臨床医の負担を減らし、ひいては患者さんのためになると信じて、日々の診療に励んでおります。