1月
市立病院 糖尿病代謝内科 小林睦博 医師
運動しなきゃ損でしょ
肥満しているけどよく運動する人と、肥満はないけど運動しない人の死亡率はどちらが低いでしょうか?肥満しているけどよく運動する人の方が死亡率が低かったという報告があります。もちろん肥満は、糖尿病や心血管病などの病気の元になるのでない方がいいです。運動がもたらすいい点は他にもたくさんあります。運動は、心筋梗塞、脳卒中、高血圧、脂質異常、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、大腸がん、乳がん、うつ病、高齢者の認知症、転倒、骨折の危険を減らしてくれるのです。なんと、がんや認知症の予防にもなるのです。その上、よく眠れるようになり、太りにくくなります。さあ運動したくなってきたでしょう?
まずは1日にプラス20分の歩行から始めましょう。それでも十分効果があります。続けて20分できなくても2回、3回に分けて合計で20分でもいいです。2型糖尿病の方なら、それはヘモグロビンA1cを0.7%も低下させてくれるということで薬1種類に相当する効果です。糖尿病のコントロールも良くなって、その上薬も減って、お金の節約にもなりますね。
運動はいきなりやりすぎないことも大事です。持病のある人はまずは主治医の先生と相談し、どのような運動が自分にはいいのかよく相談してから始めてください。どんな病気があってもその人に合った運動が必ずありますし、そういう運動をすれば必ずいいことがあるはずです。やはり運動しないのは損でしょ?
2月
市立病院 眼科 佐藤裕之 医師
白内障手術(眼~内レンズ)の最新事情
「白内障ですね、手術した方が良いですよ。」と眼科医に言われて、喜んで手術を受ける患者さんはいないでしょう。「見えないし、医者に言われたからしょうがなく」手術を受ける人がほとんどだと思います。しかし手術の時に眼の中に入れるレンズ(眼内レンズ)は日進月歩で大きな進化を遂げています。今回は眼内レンズの最新事情についてです。「若返った見え方になろう!」と発想をプラスに切り替えて、明るい視界を取り戻しましょう。
①非球面眼内レンズ
収差(わずかなぼやけ)をできるだけ減らしたレンズです。ぼやけのない、クリアな視界が得られます。
②着色眼内レンズ
無色透明のレンズは白色や青色が元々の見え方と違って見えるという欠点がありました。着色レンズは少し黄色いレンズで、術後も違和感が少なく自然な見え方になるレンズです。また、最近目に悪いといわれる青色光(ブルーライト)もカットしてくれますので、眼の健康にも良いレンズです。
③乱視矯正眼内レンズ
従来のレンズでは矯正できなかった強い乱視を矯正することができるレンズです。強い乱視の患者さんの場合は手術した後も常に眼鏡をかけないと良く見えませんでしたが、このレンズを用いれば眼鏡をかける頻度を減らす事ができます。
④多焦点眼内レンズ
遠くも近くも見えるレンズです。眼鏡をかけたくない人向きで、眼鏡をあまり使わなくて済みます。普通の白内障手術よりは費用がかかります。
これらのレンズはすべて誰にでも使えるものではありません。手術の前に主治医とよく相談して決めてください。
3月
市立病院 歯科口腔外科 秋田大輔 医師
骨粗しょう症の治療と顎骨壊死について
近年、骨粗しょう症に有効な薬剤としてビスフォスフォネート製剤(以下BP製剤)が広く使用されており、皆さんの中にも内科、整形外科などで処方されている方がおられると思います。
最近、このBP製剤を投与された患者さんで歯を抜いた後や虫歯や歯肉炎を放置していた部位、あるいは何ら誘因が無くても顎の骨の炎症、歯肉からの骨の露出などが生じてくることが報告されるようになり、年々増加してきています。これらは骨髄炎または骨髄死の症状で、顎骨に特異的に発生し、BP製剤関連顎骨壊死(がっこつえし)と呼ばれています。本剤の投与により必ず生じるわけではなく、その発生率は比較的低いのですが発症すると極めて難治性で治療に長時間かかり、重篤な場合は壊死した骨の切除手術が必要になることがしばしばあります。
BP製剤関連顎骨壊死の予防にはこの薬剤を処方する医師と歯科医師の連携が必要です。具体的には投与を開始する前に保存が不可能な歯は抜歯し、創(そう)が完全に治癒してから投与を開始することや投与されている場合は3カ月休薬してから抜歯処置を行うことなどです。また患者さんの立場としては細菌感染を予防するため、普段から口腔内の清掃を心がけていただき、定期的にかかりつけ歯科を受診し虫歯の治療、義歯の調整、歯石除去などをこまめに行うことが重要です。
4月
市立病院 総合内科 木畑 穣 医師
高齢者の肺炎について
昔から危険な病気として知られた肺炎ですが、医療環境の改善や抗生物質の開発などを背景に、昭和30年代頃からその死亡率は急速に改善しました。しかし、近年肺炎の死亡率が上昇していることをご存知でしょうか。最新の統計では、脳血管疾患と入れ替わって、肺炎が本邦の死因の第3位となりました。肺炎の死亡率は高齢者で高く、全国平均より高齢化の進んだ当地では、肺炎の予防が特に重要であると考えられます。
肺炎を引き起こす菌のひとつとして肺炎球菌があります。肺炎球菌による肺炎は特に高齢者では重症化しやすいことが知られています。実はこの肺炎球菌には、一回注射すると5年以上有効なワクチンがあります。高齢者施設を対象にした研究では、ワクチンの使用で肺炎が64%減ったというデータもあります。肺炎球菌ワクチンについて、詳しくはかかりつけの医療機関にご相談ください。
高齢者の肺炎の原因としては、睡眠中などに唾液が気管に流れ込む「誤嚥(ごえん)」も重要です。いろいろな理由で飲み込む力が弱くなっている方の場合は、誤嚥そのものを防ぐのは難しい問題ですが、口の中をいつもきれいにしておくことで唾液中の菌を減らし、肺炎を予防できる可能性があります。専門的には「口腔ケア」と呼んでいますが、口をすすぐ、しっかりと歯を磨くなど、ご家庭でもぜひお願いしたいと考えます。
お年寄りの方は、肺炎になっても発熱や咳、痰などの症状が出にくいことがあります。なんとなく元気がない、いつもより食欲がないなど、様子がおかしいと思ったら、ぜひお早めに医療機関を受診してください。
5月
市立病院 消化器内科 髙橋俊晴 医師
ピロリ菌について 第2回〜ここが変わりました〜
以前にもこのコーナーでピロリ菌(正式名ヘリコバクター・ピロリ)についてのお話が出たことがありますが、今回もピロリ菌についてのお話です。
ピロリ菌は以前から慢性胃炎の原因となり、これによって胃潰瘍や十二指腸潰瘍そのほかいくつかの病気の原因となることが知られています。このため、ピロリ菌が原因となる病気になった方については除菌(ピロリ菌を退治する)治療が推奨されてきました。
また、ピロリ菌がいる胃では、いない胃に比べてがんの発生率が高いことも分かってきました。しかし、除菌治療を受けることでがんの発生率を1/3程度に下げることができます。これを受けて、昨年3月からは、潰瘍などの病気がなくても除菌治療が保険診療として認められる様になりました。ただし、その条件は内視鏡で胃炎が確認され、なおかつピロリ菌が実際にいることを証明することとあり、何らかの検査を受けていただく必要があります。
その一つの方法として、飯田市では胃がん検診としてABC検診という血液検査である程度の判別をする試みが始まりました。これでピロリ菌と胃がんのすべて分かるわけではありませんが、いきなり胃カメラと言っても抵抗のある方が多い中で、検診を受けていただくきっかけとしては有用な方法だと思います。
詳細な検査方法や治療法はここでは省きますが、興味がある方は主治医の先生に相談してみてください。
また、除菌治療により胃がんのリスクが完全になくなるわけではありません。定期的な健診・人間ドックなどは受けていただくことをお奨めします。
6月
市立病院 循環器内科 山本一也 医師
心不全とは
心不全は病名ではなく、心臓の働きが悪くなり全身の血液循環が不足した状態をいいます。原因となる病気はさまざまです。心臓の血管の動脈硬化が原因のもの、長年の高血圧の末おこるもの、老化による心臓弁膜症などが近年増加しています。原因が特定できない心筋症、ウイルス感染やアルコールが原因の心不全もあります。
どんな症状でしょうか。坂道を上ったり重いものを持ったりすると息が切れる。疲れやすい、だるい、動悸がするなどの症状ではじまることが多く、しばしばむくみを伴います。進行すると、あお向けになって寝ると息苦しく、体を少し起こすと楽になるという不思議なことが起こり、さらに進むと、夜中に突然呼吸困難で目覚め、起き上がっても回復しにくくなります。もっと重症になれば喘息のようにヒューヒュー音がすることがあります。このような症状は心不全だけでなく貧血、肺の病気、腎臓病などでも起こりますが、診察と簡単な検査で見分けがつきます。
実は心臓は命を脅かすぐらい悪くなるまで症状を出しません。症状が出てきた時は重症だと自覚し、治療に専念する必要があります。治療としては、生活の是正、薬、原因によっては風船療法(心臓の血管の拡張術)や手術なども必要になります。
心不全の治療は飛躍的に進歩してきました。しかし、予防に勝る治療はありません。心不全の原因として増え続けている動脈硬化を予防することや高血圧をきちんと治療することが何よりもの予防となります。そのことを良く理解し、検診の結果を一度見直してみてはいかがでしょうか。
7月
市立病院 腎臓内科 森 雅博 医師
高血圧症~家庭血圧の測定の勧め~
本邦における2010年の高血圧者数は約4300万人と試算されており今後高血圧者数はさらに増加することが予想されています。現在、高血圧の診断としては診察室での血圧測定で「収縮期血圧140mmHg または拡張期血圧90mmHg以上(診察室)」を高血圧としています。高血圧と診断された場合には、生活習慣の修正と降圧薬治療が行われています。
最近では病院や診療所で測ってもらう血圧のほかに、家庭での血圧値が重視されてきています。病院や診療所での血圧は緊張してしまって本来の血圧よりも数値が高く出てしまうことがあります (白衣高血圧)。逆に病院や診療所では血圧は落ち着いているに家庭で測ると血圧が高い人もいます(仮面高血圧)。仮面高血圧では昼間の活動中に血圧が上がるタイプや夜間睡眠中に血圧が上がり特に早朝高血圧となるタイプがあります。これは持続高血圧と同じくらい心肥大や動脈硬化を起こす危険性があります。家庭での血圧測定は仮面高血圧を見逃さないだけでなく、降圧剤の薬効持続時間の判定や降圧剤の種類を考える上でも重要なのです。家庭での血圧測定は上腕で原則2回測定します。測定時間は1日2回朝と夜(就寝前)に測ります。測った結果はすべて記録しかかりつけ医や保健師にみせましょう。高血圧治療の目的は血圧を下げることそのものではなく将来の心臓や血管の病気、虚血性心疾患や脳卒中を防ぐことです。年齢や合併症によって血圧をどのくらいまで下げるか(降圧目標)が異なりますが家庭での血圧測定を行い上手に血圧をコントロールしましょう。
8月
市立病院 脳神経内科 下島吉雄 医師
運転免許と認知症
皆さんは“運転免許証”をお持ちでしょうか?私たちの暮らす地域は坂道も多く自動車やバイクなどの乗り物がないと生活は大変不便なため、多くの方が運転免許証を持っておられるかと思います。
平成21年の道路交通法改正により、運転免許更新時に70歳以上の方は高齢者講習、75歳以上の方には講習の前に講習予備検査(認知機能検査)を受けることが必要となりました。さらに平成25年からは“一定の病気の症状等”の有無が質問され、必要に応じて専門医の診断が求められます。この中には“認知症”も含まれており、認知症と診断されますと運転免許の取り消しや停止となることがあります。こうした事情により私達の所に認知症の検査が依頼されるようになっています。認知症の方の中には認知機能低下の自覚のない方もおられますし、また運転免許がないと日常生活が不自由になるとの思いから“運転をやめる”ことに強い抵抗を感じる方も多くみられます。
運転は“ご自分”のみならず“他の誰か”をも傷つけることなく安全に行わなければなりません。“ご自分のお子さんやお孫さんが歩いているすぐ横を、自動車やバイクで安全に運転できるかな?”といった観点でも考えてみてください。また、お元気な方でも年齢を重ねるに従って判断力や運動機能は必ず低下するものです。運転に不安を感じるようになりましたら“免許の自主返納”もご検討ください。現在、運転免許証を自主返納された方に対してバスや乗合タクシーの回数券を交付する制度もあるようですので、市役所リニア推進課交通政策係にご確認ください。
9月
市立病院 がん化学療法看護認定看護師 矢田賢一 看護師
抗がん剤治療について
がん化学療法看護認定看護師は、抗がん剤治療による副作用に対して薬やケアの方法を考え、症状を和らげることを専門とした看護師です。がんの治療は、手術、抗がん剤治療、放射線治療があり、それらを組み合わせて行うこともあります。また、新しい抗がん剤が次々と開発され、薬をいくつか組み合わせた治療も行われています。その中で患者様の使用する薬剤や治療法から考えられる副作用の予防や軽減する方法を考えて提供していきます。
抗がん剤治療は、がん治療になくてはならないものですが、ほとんどの方が抗がん剤による副作用を経験されます。これは、抗がん剤が、がん細胞を攻撃するだけでなく、正常な細胞まで攻撃してしまうために起こります。
副作用には、抗がん剤を使った際に出るものから数日~数週間経ってから出るものなどがあり、どんな副作用が出るかは使用する抗がん剤によって異なり、人によっても違うことがあります。抗がん剤には、吐き気や脱毛だけでなく、白血球の減少、口内炎、下痢、便秘、だるさ、手足のしびれ、発疹が出るなど様々な副作用があります。治療をしているから副作用は仕方がないと思っている方もいるかもしれません。しかし、辛い症状をそのままにしておくとさらに悪化してしまう心配があります。
そして副作用が強いと抗がん剤の減量、中止を考えなくてはなりません。治療を続けるために、副作用をいかにコントロールするかが抗がん剤治療において重要になってきます。
最近では、治療を外来で行うことが増えています。そのため、ご自宅で副作用の予防やケアをして頂く場合があります。私達は、症状を和らげる薬やケアの方法を一緒に考えて副作用を少しでも軽減できるようなお手伝いをしたいと思います。気軽にご相談ください。
※認定看護師とは
日本看護協会認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた者をいいます。
10月
市立病院 乳がん看護認定看護師 小池香代 看護師
乳がんについて
乳がんは年々増加し、女性の臓器別がん罹患率では胃がんを抜いて第1位となっています。また、現在年間7万人を超える患者さんが乳がんと診断され、日本においては12人に1人が罹患するといわれています。乳がんの罹患を予防することは残念ながらできません。しかし、早期発見・早期治療を行うことで治癒することは可能です。
乳がんを早期発見するために自分自身でできることが、乳房の自己検診とマンモグラフィ検診の受診です。みなさんは、乳がん検診を受けたことがありますか? 乳がん検診を受けることに『恥ずかしさ』や『抵抗感』、『恐怖感』を抱く方も多いと思います。最近では、受診者の羞恥心を配慮し、女性の検査技師も増えています。勇気を出して、地域の乳がん検診を受診してみませんか? また、お風呂に入った時にぜひご自分の胸をくまなく触ってみてください。毎月の自己検診は乳がんの早期発見に役立ちます。
さて、乳がんに罹患した場合の治療は、手術、薬物療法(抗がん剤、ホルモン剤、分子標的薬)、放射線治療などを組み合わせて行います。治療の内容は、乳腺専門医が全国的に推奨されている治療を選択し提示します。治療を継続するために、様々な副作用の症状や不安、心配を抱えて生活することもあるかと思います。私たちは、患者さんが『その人らしく』生活できるよう外来と病棟、リハビリなどの多職種で情報を共有し連携しながら支援したいと考えております。気になる症状や心配があるようでしたら、医師・看護師に気軽にご相談ください。
※認定看護師とは
日本看護協会認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた者をいいます。
11月
市立病院 認知症看護認定看護師 黒河内浩江 看護師
『認知症の方の表情は、自分の接し方を映す鏡』
超高齢社会である現在、飯田市の認知症の方の人数は3300人以上と言われ、年々増加傾向にあります。
認知症には必ず起こるとされる中核症状と、さらに様々な要因から起こる行動心理症状があります。日常生活の中で対応が困難と感じられる行動(暴言暴力・物取られ妄想・幻覚・徘徊など)は、すべて行動心理症状に分類されます。行動心理症状を起こしてしまう要因には①身体的な苦痛(痛みや便秘、発熱など)②環境の変化(騒音や光、引越し、入院など)③心理社会的な変化(不安や孤独、ストレスなど)があり、もう1つ重要な要因として④適切でない関わり方が挙げられます。『認知症の方は何もわからないから説明もしなくていい、すぐに忘れてしまうのだから何をしてもいい』という考えは、実は認知症の方に伝わっています。認知症の方は『記憶』として忘れてしまっても『感情』で覚えています。不快であることを言葉で上手く表現できないために、行動心理症状として表現しているのです。認知症の方の気持ちを常に考え、この行動は何を訴えようとしているのか推測し対応することで、行動心理症状は軽快します。『認知症の方の表情は、自分の接し方を映す鏡』と言われ、自分の接し方が良ければ認知症の方の表情も良くなります。
現在、認知症の治療薬はありませんが、症状の進行を遅らせるための薬があり、そのためには早期発見が大切です。『なんとなく変だな』『身近な人が、前と少し違うな』と感じることがありましたら早めに受診し、必要であれば治療を開始されることをお勧めします。ぜひお気軽にご相談ください。
※認定看護師とは
日本看護協会認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた者をいいます。
12月
市立病院 呼吸器外科 牧内明子 医師
肺がんを予防するには?〜禁煙のすすめ〜
2012年の統計によると、肺がんは男性のがん死亡原因の1位・女性の2位で、肺がんで亡くなった方は日本全国で年間7万1518人にのぼりました。
肺がんは予防できるでしょうか?肺がんの原因というとたばこ(喫煙)を思い浮かべる方は多いと思います。実際そのとおりで、「喫煙者は、たばこを吸ったことがない人にくらべて男性で4.5倍、女性で2.8倍肺がんにかかるリスクが高い。」という統計があります。たばこは周囲の人にも影響を与えます(受動喫煙)。厚生労働省の調査によると、「夫が喫煙している女性の肺がんリスクは2倍。女性の肺がんの37%は受動喫煙がなければ防げた。」との結果が出ています。
では、たばこをやめれば肺がんは予防できるでしょうか?禁煙すると徐々に肺がんリスクは減少します。たばこを吸わない人の肺がんリスクを1とした場合、禁煙後9年以内の肺がんリスクはまだ3倍ありますが、禁煙後20年以上の肺がんリスクは1まで戻ります。また、すでに肺がんにかかっている人も、禁煙によって5年後の生存率が改善することが報告されています。禁煙はもっとも有効な肺がんの予防法といえます。
たばこでかかる病気は肺がんに限りません。がん全体の発生リスクは喫煙者で2倍という統計がありますし、頭頚部がん・食道がん・尿路がんは特に喫煙者に多いがんです。
また、COPD・肺炎などの肺疾患、虚血性心疾患、脳卒中、メタボリックシンドローム、消化性潰瘍など、喫煙者でかかるリスクが高い病気は数多くあるのです。
禁煙して健康になりませんか?