1月
市立病院 消化器外科 平栗 学 医師
大腸がんについて
大腸がんは以前に比べて増加してきた疾患です。最近では大腸がんになる人の割合は男性で胃がん、肺がんに次いで第3位、女性では乳がんに次いで2位となっています。また、大腸がんによる死亡率はがんによる死亡のうち、男性で3位、女性では1位の疾患です。
大腸がんは病気が進む前に見つかれば治る可能性も高く、できる限り早い段階で見つけることが大切です。しかし、早期のうちには症状も乏しく、検診などで便潜血反応をみて、もし便潜血陽性であれば大腸内視鏡などの精密検査を受けることをお勧めします。
そこで大腸がんが見つかった場合は、次はCT検査などで、病気の広がり具合を調べます。これはがんが他の臓器にくっついていないか、リンパ節や肝臓などに転移がないかを調べるのが目的です。検査で大腸がんの切除が可能と判断されれば、内視鏡や手術などでがんを切除することが標準的な治療法です。切除した後は、病理検査でがん細胞の広がり具合を更に詳しく検査をします。その結果で、術後補助療法と言って抗がん剤の追加治療を行うことがあります。ここでの抗がん剤治療は再発率を下げるために、念のため行う治療ですので、通常半年間で終了して、その後経過を見ます。
一方、CTなどで切除ができないと判断された場合や、術後に再発してしまった場合には、抗がん剤治療が行われることがありますが、この治療はがんの進行を遅らせて、少しでも長生きができることを目的としますので、抗がん剤が効いている間は継続することが一般的です。
大腸がんの治療は患者さんの病状や、がん以外の状態などに応じて行う必要があります。
2月
市立病院 心臓血管外科 北原博人 医師
続「禁煙のすすめ」循環器疾患から
昨年12月1日号の当コラムで、肺がんの観点から「禁煙のすすめ」が掲載されました。今回は循環器疾患の観点から「禁煙」を是非にお勧めします。
私ども心臓血管外科では心疾患、大動脈疾患、末梢血管疾患の手術を担当させて頂いていますが、手術を受けられる患者さんについて「この方はたばこを吸わなければこの様な病気で手術を受けることはなかったのに」と思うことがしばしばあります。たばこの健康被害として肺がんはとても有名ですが、循環器疾患においても大きな健康被害が出ています。たばこを吸う方は吸わない方に対して、狭心症や心筋梗塞になる割合が最大3倍も高く、脳卒中では8倍、突然死では10倍も高くなるのです。また喫煙は糖尿病や高脂血症を悪化させる作用もあり、様々な心臓や血管、脳、腎臓などの循環器疾患を作り出しているのです。一方、たばこを吸われる方の煙を二次的に吸ってしまう「受動喫煙」の健康被害も明らかになっています。ご自分を守ると共に周囲の方々も守るということから是非、禁煙をお願いします。狭心症や心筋梗塞では禁煙後、比較的早期から発症の危険が低下することがわかっています。一日も早い禁煙をお勧めします。
しかし「止めたくても止められない」という声も存じています。今、喫煙は「喫煙病(依存症+喫煙関連疾患)」という全身疾患であり、全ての喫煙者は「積極的禁煙治療を必要とする患者さん」という認識が関連学会を中心に広められています。禁煙には手助けが必要です。積極的にお近くの先生にご相談下さい。
たばこは「危険ドラッグ」と同じです。止めるのは今です。
3月
市立病院 乳腺内分泌外科 新宮聖士 医師
乳がんの薬物療法
わが国における乳がん罹患者数は年々増加しており、最新のデータで女性の12人に1人は乳がんになるといわれています。乳がんの治療ですが、手術だけでは十分とはいえません。乳がんと診断が付いた時点で、体中には検査ではわからない小さな転移(微小転移)を来していることが多いといわれています。後にそれらが増大してはっきりわかるようになることが、再発または転移という状態です。そのような微小転移に対しては全身に行き渡る治療が必要になります。それが薬物療法です。
一口に乳がんといってもがんの性質は様々です。したがって、手術などで切除した乳がん組織を調べてグループ分けをして、各グループ別に治療方針を立てます。乳がん組織内の女性ホルモンの受容体とHER2蛋白という増殖因子の受容体の発現状況から、①ルミナルA、②ルミナルB、③HER2、④トリプルネガティブ、という4つのグループに分けます。同じグループに分けられた乳がんは似たような性質を持っています。再発予防の治療としては、①はホルモン療法、③は分子標的治療+抗がん剤治療、④は抗がん剤治療で、②はホルモン療法+何らかの薬物療法となります。再発の際は、手術時の組織検査によるグループを参考に薬物療法の内容を考えます。
乳がんは薬物療法の効果が期待できるがん種であり、適切な薬物療法を受けられれば、再発した場合でも生活の質を保った上での延命が可能となります。巷にあふれる「医療否定本」に惑わされて、薬物療法を拒否されないよう、私たち医療者が患者さんに正確な情報を提供する責任を感じています。
4月
市立病院 整形外科 大柴弘行 医師
変形性関節症と運動
整形外科では骨折、筋腱損傷、脊椎や関節の変性疾患などの運動機能障害の治療にあたっています。運動器の変性疾患とはおもに筋骨格や関節軟骨の加齢変性を背景に生じるもので、変形性関節症が代表的です。症状と関節可動域、X線画像による進行度に応じて様々な手術治療がありますが、受診される皆さんが多く望まれるのはなるべく手術を回避し、除痛と進行予防を得る方法かと思われます。
いずれの進行度の治療にも最も重要で効果があるものが筋力訓練です。痛みのために運動頻度が減ると筋力はすぐに低下します。動かなくなるために増加する体重を弱った筋力で支えなければならず、結果、関節にかかる負担が増えて変性は進行します。筋力は年齢相応の日常生活レベル運動強度のみでは20歳をピークに1年で1%ずつ減少するといわれ60歳では最も体力のある時期に比べ60%にまで低下します。一方で健康な成人を1日中寝かせたまま食事も排泄もベッド上臥床で行わせた安静臥床の研究では下肢筋力はたった1日でこの1%の低下をしてしまうそうです。痛みが強い時には軟骨にかかる負担を抑え、体重がかからない方法での運動が勧められ下肢伸展挙上や、体幹筋力を鍛える方法がよいとされます。自転車や水中での運動なども体重の負荷を軽減しながら筋肉にはより負荷をかけることができ推奨されます。心臓や血管の疾患の有る方は運動の種類により血圧の変動を来す危険があるため注意が必要ですが、日頃からの運動習慣を持ち、関節の痛みがあっても日常生活動作は維持していくことが重要です。
5月
市立病院 形成外科 西岡宏 医師
ピアスケロイド~気軽にピアスし、その後が大変~
耳たぶがエンドウ豆~ピンポン玉の様に腫れた患者さんたちが定期的に形成外科を受診されます。ピアスケロイドです。
一般的にケロイドは外傷、熱傷、手術、細菌感染、金属アレルギーなどが誘引となり傷などが赤く盛り上がって目立つようになる状態で、痒みや痛みを伴うことがあります。ケロイドは耳、胸、肩、腕、下腹部などによくできますが、体質も大きく関係しています。どんなにひどい傷でもきれいに治る方がいる一方、虫に刺された痕やニキビなどからケロイドが発症する方もいらっしゃいます。
ピアスケロイドの場合は、耳たぶに穴を開ける人為的外傷が誘引となります。また、適切な処置を怠り細菌感染が起こったり、皮膚のトンネルの完成後もピアス脱着時に傷つけたり、金属アレルギーで持続的に皮膚の炎症が起こり、ケロイドの原因となることもあります。
当院におけるケロイドに対する治療法は、塗り薬・飲み薬・貼り薬・注射・手術・放射線を患者さんの状態に応じて組み合わせることによって、完全に傷跡をなくすことは不可能ですが、目立たなくすること、症状を緩和することは可能です。
ピアスは今や身近なおしゃれとして広く浸透しています。気軽にピアスを開ける方が多いですが、ケロイド体質の方は絶対におすすめしませんし、そうではない方もこのような合併症について十分な認識が必要だと思います。
形成外科は「傷の専門家」です。ピアスケロイド以外のケロイド、顔の大きな傷痕や帝王切開の傷痕など、悩んでいる方は気軽に形成外科を受診してください。
6月
市立病院 小児科 勝又 優 医師
川崎病って知っていますか?
川崎病という病気を知っていますか。川崎病は主に4歳以下のお子さんにおこる病気です。ある日、なんの前触れもなく急に発熱で始まることが多く、川崎病の「主要症状」と呼ばれる症状が4~5日のうちに現れます。主要症状とは、①発熱、②手足が赤くはれる、③発疹、④目の充血、⑤唇や舌が赤い、⑥首がはれて痛い、の6個です。これらの症状がどのような順番で出るかは決まっていませんが、これらの症状は病気が始まると3、4日で次々と現れます。経過中に、約5~10%の患者さんで心臓に合併症を起こすことがあります。
川崎病と診断されたら、自宅で治療して治すことはできません。入院して治療を受けることが必要です。治療でできるだけその経過を短く抑えることが心臓合併症を防ぐことにつながります。治療がよく効きますと上の症状は良くなりますが、退院後も定期的に通院して心臓の精密検査をうけることになります。その合併症の程度によりますが、ほとんどの場合は、退院後は日常生活に制限なく、今まで通りに生活できるようになります。
川崎病は約40年前から知られていますが、いまだに原因がはっきりしていない病気です。しかし、その症状は広く知られていますので、現れてくる症状をよく観察して早期に診断することが重要です。熱が高く機嫌が悪いときには、食事よりも水分の補給に努めること、むやみに手元にある薬で治療しようとしないこと、などに注意してください。かかりつけの小児科を受診して普通の風邪ではないことに早く気が付いて、正しく川崎病と診断してもらいましょう。
7月
市立病院 皮膚科 堀米玲子 医師
にきびの話
にきびは、主に顔面にみられる毛包の慢性炎症で、日本人の90%以上の方が一度は経験するといわれるありふれた疾患です。にきびの最初の症状は皮脂が毛穴にたまった状態であり、面皰(めんぽう、コメド)と呼ばれます。面皰のなかにはアクネ菌と呼ばれる細菌がいて皮脂を栄養に増殖し炎症をおこします。炎症がおこると赤いぶつぶつができたり膿んだりします。炎症がさらに高度になると、毛穴が破壊されて大きい膿のふくろができたり、硬くもりあがったりして、なおったあとにきずが残ってしまうこともあります。思春期のにきびは性ホルモンの働きが活発になるため、皮脂の分泌が増加しておこります。20歳をすぎてもにきびができることがあり、大人にきびと呼ばれます。大人にきびも思春期のにきびと発症メカニズムは同じですが、ストレスや睡眠不足、不規則な生活、不適切なスキンケアなどが発症に関与していることもあります。
にきびの症状にあわせて適切な治療をすることが必要です。炎症の軽い、面皰が主体のにきびには毛穴のつまりがおこらないようにする外用剤を使用します。赤くはれたり膿んだりしている炎症の強いにきびには、アクネ菌を減らし炎症を抑える作用のある抗生物質の飲み薬や外用剤を主に使用します。炎症がおさまってからもにきびができないように外用剤をしばらく継続して使用することが必要です。にきびの治療には適切なスキンケアやストレス対策も大切です。人目が気になってしまうにきび。色々な治療方法があります。一人で悩まずに皮膚科に相談してください。
8月
市立病院 泌尿器科 中藤 亮 医師
尿管結石を予防しよう
夏になると多くなる泌尿器科の病気に尿管結石があります。尿の成分の結晶が腎臓の中で結石になり、尿管という腎臓と膀胱の間の尿の通り道に詰まってお腹や腰の激痛や血尿を起こす病気です。夏は発汗によって尿量が少なくなるため、尿の濃度が上昇し、結晶が出来やすくなるため、冬と比べると結石の発作が約2倍多いといわれています。
尿管結石は1960年代と比べると約2倍に増えており、これには食生活の変化などが関係しているといわれています。尿管結石を予防するために、以下のような注意をすることが勧められています。
まず、水分をたくさん摂取する事です。食事以外に1日2リットル以上が推奨されていますが、無理な場合はできる範囲でよいでしょう(持病で水分が制限されている方はそちらを優先してください)。水分の摂取源として砂糖を多く含んだものや、紅茶、コーヒー、
アルコール類などは結石の生成を促進することがあるので、お勧めできません。ミネラルウォーターや麦茶などが良いとされています。
食事としてはシュウ酸といわれる結石のもとになる成分を含む食品の過剰摂取に注意が必要です。ホウレンソウ、タケノコ、チョコレート、紅茶などがこれに当たります。
また、砂糖や動物性タンパク質、塩分、脂肪の過剰摂取が結石の生成を促進するといわれていますので、
過剰摂取しないようにします(目安としてタンパク質は体重1㎏あたり1日1g前後、塩分は1日10g以内)。
これらは高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病の予防とも共通する部分の多いものです。バランスの良い食事をとることを心がけましょう。
9月
市立病院 産婦人科 橘 涼太 医師
子宮頸がんの原因は感染症です
子宮頸がんの原因はヒトパピローマウィルス(HPV)の感染であることが知られています。HPVが子宮頸部の細胞に感染をおこすと細胞の形態に変化がおこります。これを捉えるのが子宮頸がん健診で行われている細胞診です。そこで異常を認めた場合の多くに子宮頸部異形成を認めますが、これはまだ頸がんではありません。感染が原因ですので自然に消えてしまうものと、徐々に悪化するものとがあります。HPVには100種類以上のタイプが知られていますが、その内一部の感染が持続すると頸がんに至ります。
以上のことから子宮頸がんは予防可能ながんだとも言え,その一つが子宮頸がんワクチンです。感染を起こす前の女子児童に接種することで感染自体を予防できます。欧米ではその有効性が実証されており、本邦でも一時一斉に開始されました。しかし副作用の可能性が大きくクローズアップされたことで現在あまり行われていないのが実状です。とはいえ,元々このワクチンはいくつもある原因ウィルスの内2つのタイプを抑えるだけであり,いずれにしても100%子宮頸がんを予防できるものではありません。
やはり子宮頸がん予防に最も大切なことは健診を受けることです。これで前癌病変を捉えることができ,がんになる前の段階で対処可能となります。欧米では7~8割の受診率ですが,本邦では2割程度にとどまっています。
妊娠初期には必ず検査を行っていますが、妊娠可能な年齢から閉経した方まで皆さん頸がんのリスクをもっています。集団健診でも大学病院でも検査は同じものですのでぜひ身近な機会を利用してがん健診を受けましょう。
10月
市立病院 眼科 星野彰宏 医師
流涙症について
みなさまは「流涙症」といった病状をご存知でしょうか。
字のごとく涙が出て目がウルウルする、ショボショボする、場合によっては視機能に影響を及ぼす状態のことであります。
「流涙症」と一言でいいましても原因は様々で、「分泌性流涙」と「導涙性流涙」の2つに大別されます。
「分泌性流涙」とは結膜炎やドライアイ、目にゴミが入ったなど、何か原因があって涙の分泌量が増える状態で、それによって涙目になるものをいいます。
一方、「導涙性流涙」とは涙道が詰まって目に涙が溜まる状態のことをいいます。涙道とは目頭には上下に涙点という排水溝があり、そこから涙小管、涙嚢、鼻涙管という排水管を通って、鼻の中に開通しています。
当院では「流涙症」の原因を正しく評価し、それぞれの原疾患に対しての治療を適切に行っております。
「導涙性流涙」の場合、多くが涙点閉塞、鼻涙管閉塞、涙嚢炎など涙道が詰まっていることが原因による症状ですので、その場合は外科的手術が必要となります。
当院では「涙道内視鏡を用いた涙管チューブ挿入術」を行っております。この手術は局所麻酔下で行い、涙点より直径0.9㎜の涙道内視鏡を挿入し、詰まっているところを内視鏡で突いて穿破し、うまく開通したら涙管チューブを涙道内に挿入し、留置しておくといった内容の手術であります。手術時間は30分前後で、
日帰りで行うことができ、出血や痛みもほとんどなく安全に行える手術であります。
「流涙症」でお悩みの方は、まずは眼科医に相談をしていただき、涙道閉塞が原因であれば当院にて手術を検討させていただきます。
11月
市立病院 耳鼻咽喉科 塚本耕二 医師
中耳炎について
中耳炎は、大別すると急性中耳炎、慢性中耳炎、滲出性中耳炎に分けられます。
急性中耳炎は耳痛、耳漏などの症状があり、中等度以上では発熱を伴うこともあります。感染経路の多くは経耳管的(鼻の奥)から細菌やウイルスが侵入することによっておこります。診断は鼓膜所見から判断します。最近は抗菌剤の効きにくい耐性菌も増えてきているため、必要に応じて細菌培養を行います。治療は軽症であれば経過観察、中等症以上では抗菌薬や鼓膜切開を行います。病気が進行すると、乳幼児では乳様突起炎などの重い病気になる場合があります。
慢性中耳炎は細菌感染の繰り返しなどにより、中耳腔などの慢性炎症が持続する状態です。難聴、耳漏が主な症状です。診断は鼓膜所見、CT、細菌培養などを用いて行います。治療は保存治療(薬物療法や耳処置)、手術治療があります。患者さんの状態などをみて、総合的に判断します。
滲出性中耳炎は難聴、耳閉感、自分の声が響くなどの症状があります。幼児に多く、本人が難聴を訴えないので発見が遅くなる傾向があります。原因は急性中耳炎からの移行、アデノイド、成人では上咽頭腫瘍、高齢になると耳管機能障害などがあります。鼻すすりも一因と考えられています。診断は鼓膜所見、聴力検査、ティンパノメトリーで行います。治療は保存的治療(通気や薬物療法)が第一選択になります。改善しないようであれば、鼓膜切開や鼓膜チューブ挿入を行います。
耳の症状があるようでしたら、耳鼻咽喉科専門医に相談してみてください。
12月
市立病院 放射線診断科 渡辺智文 医師
RI(アールアイ)検査とは
RI検査とは放射線部で行う画像検査の一つであり「ラジオアイソトープ検査」、「核医学検査」とも呼ばれています。ガンマ線という放射線を放出する微量の検査薬(ラジオアイソトープ)を静脈から注射し、時間を置いた後でガンマカメラという機械で撮像を行います。
撮像はほとんどの場合、30~40分で済みます。患者さんにはこの間、ベッドの上で体を動かさずに寝ていていただきます。撮像された画像からは対象となる臓器の血流や機能についての情報が得られるのですが、この情報は他の検査では得られない貴重な情報であり、病気の診断や治療効果の判定などに役立ちます。
対象となる臓器は脳、心臓、腎臓、消化管、骨などでほぼ全身に及び、30種類ほどあるラジオアイソトープにより対象となる臓器や得られる情報が決まります。
当院で行われるRI検査の中で一番多いのは骨シンチグラフィです。この検査に用いられるラジオアイソトープは、骨の代謝や反応が盛んなところに集まります。この性質を利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折の診断ができます。全身の骨への転移を診断することができるので乳がん、肺がん、前立腺がんなど骨転移をきたしやすいがんの治療前や治療後の経過をみる上で欠かせません。
RI検査を受ける患者さんはある程度の放射線被曝がありますが、検査で使う薬の放射線量は極めて少なく、半減期も極めて短いため、体への影響はまずありません。受け持ちの先生からRI検査を受けるように言われた場合にはどうか安心して検査を受けてください。