現代版養生訓

2017年の現代版養生訓

1月

市立病院 心臓血管外科 北原博人 医師

大動脈瘤の話

「大動脈」は心臓からの血液を全身に送る血管で、心臓に始まり臍の辺りで左右に分かれて終わります。成人の場合、直径が2~3cmあり安静時に毎分4リットル前後の血液が流れ、血圧を支えるため相当に丈夫に出来ていて、壁はゴムの様に伸び縮みしています。この大動脈の壁が膨れ上がってしまう病気が「大動脈瘤」で、局所的であったり広範囲であったり様々です。主な原因は動脈硬化です。皆さんゴムを思い浮かべて見て下さい。ゴムは古くなると硬くなって切れやすくなりますよね。動脈も一緒で元々ゴムのような性質があるため硬化することで弱くなってしまうのです。弱くなった部分の壁が血圧に耐えきれずに膨れ上がったのが動脈瘤です。つまり動脈瘤の部分は壁が弱ってしまっているのです。そうしますと、いつか破裂という心配が出て来ます。いつ破裂するかは予測不可能で、大きなものほど危険です。破裂すると大出血して命を脅かす怖い病気となります。大動脈瘤は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれ、破裂するまでほとんど症状がありません。レントゲンや超音波の検査で見つかることがしばしばです。治療法は手術による人工血管置換術と「ステントグラフト」というカテーテル(細い管)を使用した低侵襲な治療があり、治療の安全性は近年、格段に向上しています。
血圧の高い方や、身内に動脈瘤を指摘された方などは積極的な検査をお勧めします。スクリーニング検査は簡単ですので、かかりつけ医にご相談下さい。禁煙、減塩などの動脈硬化の予防はとても重要です。

2月

市立病院 乳腺内分泌外科 新宮聖士 医師

甲状腺のしこり

みなさん、甲状腺ってどんなものか知ってますか?体のどこにあって、どんな働きをしているか、知っている人は意外に少ないのではないかと思います。
甲状腺は首の甲状軟骨(のどぼとけ)のすぐ下にあり、蝶が羽を広げたような形をした重さ20gほどの小さな臓器ですが、大事な働きをしています。甲状腺で作られた甲状腺ホルモンは血液を介して体中に運ばれ、全身の新陳代謝を活発にし、また発育・成長にも深く関与しています。
甲状腺の病気は、甲状腺が全体的に腫れるものとしこりに分けられます。いずれも男性より女性に多くみられます。
甲状腺のしこりは、良性と悪性(がん)に分けられます。良性の方が圧倒的に多く、甲状腺のしこりの大部分は腺腫様甲状腺腫という良性のしこりです。エコー検査あるいは細胞診(しこりに注射針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査)でこのしこりと診断された場合、一般に手術の対象にはなりません。
がんは、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんの4つに分けられ、90%は乳頭がんという比較的おとなしい性質のがんです。乳頭がんであれば、手術のみで完治が期待できます。濾胞がん、髄様がんに関しても術後の再発率はそれほど高くありません。髄様がんの中には遺伝性疾患の一型として発症するものもあります。ただ、未分化がんは非常に進行の速い癌で、治癒に導く効果的な治療法はなく、診断確定後の余命は数カ月程度であることがほとんどです。近年未分化がんに対する分子標的治療薬が開発・認可されたため、治療成績の向上が期待されています。

3月

市立病院 整形外科 伊東秀博 医師

脊椎圧迫(椎体)骨折

脊椎圧迫骨折は背骨(脊椎)のうち椎体という本体部分が、押しつぶされるように変形する骨折です。骨粗しょう症では、尻もち、くしゃみ、急に重いものを持った時にも生じ、いつのまにか骨折していることもあります。この骨折は背中や腰が強く痛み、身体的にも日常生活にも悪影響を及ぼします。また背骨全体のバランスが崩れ、ひとつ折れると次の骨折が発生しやすくなります。
これまで脊椎圧迫骨折の治療法は、まず保存的治療(コルセットなどで骨折が落ち着く=つぶれた骨が固まる、のを待つ)が選択され、骨折が落ち着かず神経症状が生じたりすれば外科的治療(手術で金属製のねじや棒と骨の移植で固める)が行われてきました。
2010年からBalloon Kyphoplasty(バルーン椎体形成術、BKP)という新しい手術法が厚生労働省より承認されました。つぶれた椎体をできるだけもとに近づけ安定させて痛みを和らげる治療法です。具体的には、全身麻酔下に背中の約1㎝の切開(2カ所)から椎体内に細い管を通し、挿入した風船でつぶれた骨を持ち上げ、骨セメントをつめて固めます。これらにより早期に痛みを軽減し生活の向上を目指します。対象は骨粗しょう症による脊椎圧迫骨折の患者さんのうち、十分な保存的治療でも痛みが改善しない方で、健康状態などによっては対象とならない場合もあります。BKPは専門のトレーニングを受けた医師が手術しますが、他の手術と同様に一般的なリスク、骨セメントの使用によるリスクなどもあります。詳しくは専門の医師にご相談ください。

4月

市立病院 形成外科 常川主裕 医師

ケガをしたら家でどうしますか?

一昔前はケガをすると消毒して乾かすようイソジンやマキロンなどを使った方もいらっしゃると思います。しかし最近では傷口にとって消毒と乾燥は創治癒を妨げる一因であると考えられるようになり形成外科外来では消毒せず傷口も乾燥させないような処置が行われるようになってきました。
ではケガをしたら家でどう対処したらいいのでしょうか?
まず止血を行います。大抵は圧迫で止まりますのでガーゼやハンカチなどで傷口を直接圧迫してください。指や腕の根本をゴムでしばると逆に出血が増えたり、指先に血液が行かずに壊死する場合もありますのでやめてください。
止血の次は傷口の洗浄です。特に室外のケガでは砂利などの異物や細菌がキズの中に入る事があります。キズ処置の基本はこれら異物や細菌数を減らすことですので、シャワーなど流水でしっかりと洗ってください。これで十分です。消毒も細菌数を減らしますが、場合によっては正常な組織を傷つけるので創治癒を邪魔してしまいます。
続いて傷口の被覆ですが、ケースバイケースなので一概に説明することはできません。とりあえずであれば自宅にあるワセリンベースの軟膏を使うかキズパワーパッドのような市販の創傷被覆材でいいかと思います。
自宅にキズ処置を行うガーゼ類がなければ止血と洗浄を行って薬局などで購入するか止血操作を行いながら病院に行ってください。
毎日の処置は消毒ではなく、流水でしっかりと洗ってから傷口を乾燥させないよう被覆してください。ただし、キズの治りが悪かったり膿んだりするようなら早めに病院を受診してください。

5月

市立病院 泌尿器科 中藤亮 医師

泌尿器科分野の腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とは腹部に複数の小さな創をあけて、内視鏡や手術器具を挿入して行う手術のことです。創の大きさは1~2㎝程度です。術者はお腹の中に入れた内視鏡の画像をモニターで見ながら、体の外から手術器具を操作して手術を行います。お腹を切って行う開腹手術と比べて小さい創で手術を行うため、手術に時間がかかりますが、創の痛みや出血量、体の負担を少なくし、術後の回復をより早くすることができます。泌尿器科の分野でも1990年代から腹腔鏡手術が行われるようになり、現在では腎臓や前立腺の癌の手術、副腎の手術では、腹腔鏡手術が主流になっています。特に前立腺癌の手術は、手術支援ロボットを操作して行うロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALP)が2012年から保険適応となり、急速に普及しました。ロボット支援手術では、3D画像によりお腹の中を立体感を持ってみることができ、従来の腹腔鏡手術より正確で緻密な操作が可能といわれており、前立腺癌の手術後の合併症である尿失禁や勃起障害の軽減が期待されています。
飯田市立病院の泌尿器科でも腎臓の癌に対する手術(腎臓を摘出する腎摘除術、癌の部分を切除する腎部分切除術)や腎盂癌・尿管癌に対する手術を腹腔鏡手術で行っています。ロボット支援手術については、残念ながら当院では対応できませんが、希望のある患者様は信州大学病院などへ紹介させていただいています。

6月

市立病院 脳血管内治療科 内山俊哉 医師

脳梗塞を予防するためにできること

脳梗塞とは、脳の血管が詰まり脳細胞が壊死する病気で手足に麻痺が後遺したりと今後の生活の質を低下させます。生活習慣病を背景とする脳血管の動脈硬化が原因のほとんどでした。高齢化に伴い急増しているのが心房細動という不整脈を原因とするタイプです。これは心臓が不規則に興奮するため脈拍が乱れ、血液の流れがよどんでしまい心臓内に血栓(血の固まり)が作られます。その血栓が脳の太い血管に詰まると重篤な脳梗塞に至ります。心房細動は加齢とともに増加し、80歳台では10%の人に発症すると言われています。
脳の太い血管が詰まると治療困難でした。2005年にアルテプラーゼという強力な血栓溶解剤が導入され期待されましたが最終的に自立した生活を送れたのは19%だけでした。「薬でダメなら直接取りに行こう」と、血管の中にカテーテルを挿入して「血栓を吸引する、砕く」など様々な治療が試されましたがなかなか治療成績は上がりませんでした。2014年に「ステント型血栓回収機器」という網目状の筒を血栓に絡ませて回収する新しい機器が導入され、自立した生活を送れる人が33%まで増加させることができるようになりました。
これらの治療は発症から時間が経過すると治療効果は望めません。「できるだけ早く」が重要であり、手足の麻痺、言語障害があれば一刻も早く搬送してください。なによりもそうならないための早期発見が重要であり、薬で予防することは可能です。心房細動は無症状のことが多い不整脈ですので自分の脈を触れてみて脈拍が不規則であれば受診をお勧めします。

7月

市立病院 新生児科 島 庸介 医師

こどもの便秘症

こどもの便秘症は珍しいことではありません。10人に1人以上いると考えられています。
便秘とは、便が長い時間出ないか、出にくいことをいい、週に3回より少なかったり、5日以上出ない日が続けば便秘と考えます。腸に便が溜まりすぎると、少量便が頻繁に漏れ出るようになり、小さいコロコロの便や軟らかい便が少しずつ、1日に何度も出ている場合や下着がいつも便で汚れている場合も便秘のことがあります。便秘のために治療が必要な状態を『便秘症』といいます。
便秘症を長期間ほうっておくとどうなるのでしょうか。便が腸内にとどまっていると、水分が吸収されてだんだんと硬くなります。硬い便を出すときには肛門がひどくいたみますから、お子さんは排便を我慢したり、肛門をしめながらいきんだりするようになります。極端な例では両足をX形にクロスして便を我慢します。便はしばらく我慢していると出たくなくなりますから、そのまま大腸に便が残ります。すると、便はますます硬くなり、いよいよ出るときには非常な痛みを伴うことになり、お子さんはますます便を我慢するようになり、そのようなことが続いていると、常に便が腸にある状態が続くことになり、腸がだんだん鈍感になってしまい、ますます便が長く腸にとどまって硬くなっていくのです。これを便秘の悪循環といいます。このような状態にまでなってしまうと便秘症はとても治りにくくなってしまいます。そうならないように、便秘症は早めに治療を行うことが大切です。

8月

市立病院 産婦人科 池田枝里 医師

更年期障害について

閉経とは、1年以上生理が来ない状態を言います。日本人女性では平均50歳頃です。閉経の前後5年間を更年期といい、この時期に起きる症状の中で、何の病気とも関係しない症状を更年期症状と呼びます。この更年期症状の中で日常生活に支障をきたす状態を更年期障害といいます。
女性ホルモンは閉経の直前まで変動しているため、ホルモンの値だけで閉経を予測するのは難しいとされています。更年期症状の中でよくみられる症状としては、肩こり、疲れやすい、頭痛、のぼせ、腰痛、汗をかくなどです。その他にもイライラや気分の落ち込み、意欲がわかないなど様々な症状がみられます。
うつ病と似た症状も多く、女性のうつ病は女性ホルモンに関連することがあり、お産後・生理前・更年期に発症することが多いとされています。
更年期障害に対する治療はホルモン補充療法をはじめ、漢方の使用、カウンセリングなどがあります。
ホルモン補充療法は危険との認識が強いこともありますが、長所もたくさんあります。特にホットフラッシュや性交痛などには効果がみられます。また骨粗鬆症や脂質異常症にも効果があります。副作用がみられることもあり、乳癌、血栓症、心筋梗塞、脳卒中になったことがある場合には使えません。60歳未満に始め、閉経してから5年未満の使用では、乳癌のリスクは増加しません。また10 年以内の使用であれば、心筋梗塞のリスクも増えません。
症状がある場合には我慢せずに、まずは婦人科にご相談ください。女性のみなさんの健康寿命をのばすお手伝いができればと思います。

9月

市立病院 眼科 星野彰宏 医師

失明の可能性がある病気〜緑内障〜

緑内障は眼圧が高いなど何らかの原因により視神経が障害されて、視野(見える範囲)がだんだん狭くなる病気です。
視神経障害は不可逆的で、進行すれば失明に至り、現在のところわが国における失明原因の第1位であります。
40歳以上になると20人に1人の割合で発症すると言われており、緑内障の初期では自覚症状がないため健診などで偶然に発見されることが多いです。初期の段階で発見されればまだよいのですが、自覚症状が現れる中期から末期になると治療が手遅れとなってしまい、失明に至ってしまうことがあります。
治療は眼圧を下げることが唯一の方法で、それによって緑内障の進行を抑えます。しかし、一度失ってしまった視野障害は元に戻ることはありません。
眼圧とは、眼の形状を維持するために適度な硬さがあり、その硬さを維持する圧のことを言います。眼の前の方には角膜や水晶体に栄養を送る房水が流れているのですが、その排水溝にあたる部分が目詰まりを起こすなどして流れが滞ってしまうことにより、眼圧が上がります。
眼圧を下げるためには、まずは点眼治療を行い、効果が不十分であればレーザー治療や手術が必要になることもあります。
また、緑内障にはさまざまな原因やタイプがあり、それぞれ治療方法が異なるため、まずは緑内障の原因を調べてから治療を開始します。
緑内障で大切なことは早期発見、早期治療を開始することです。
緑内障を発症してしまった場合、一生付き合っていく病気ですので、かかりつけ医を持ち、定期的な検査と治療を継続することが重要です。

10月

市立病院 耳鼻咽喉科 塚本耕二 医師

頭頸部がんついて

頭頸部がんという言葉を知っている方は少ないかもしれません。
頭頸部がんとは、耳、鼻、副鼻腔、口腔、咽頭、喉頭、唾液腺などの部分にできるがんのことです。全てのがんの約5%程度と発生頻度は少ないのですが、外耳がん、上顎がん、舌がん、口腔底がん、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、耳下腺がん、顎下腺がんなど種類が非常に多く、発生原因や治療法などが異なるのが特徴です。
発症の好部位は口腔、喉頭、咽頭です。
頭頸部がんの多くは中高年男性に発症しますが、部位によっては若年者や女性にも発症することがあります。
原因(危険因子)の一つは喫煙です。喫煙期間や喫煙本数に比例して危険性が高くなります。受動喫煙も原因となります。禁煙をすると発症の危険性が減少します。
飲酒も危険因子です。飲酒量に比例して危険性は高くなります。大量飲酒者は口腔がんで5倍、咽頭がんで7倍の危険性になるようです。
また、ウイルス関連の咽頭がんがあることも知られています。
治療は手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)を組み合わせて治療することが多いですが、手術を行わない症例が増えてきています。
ただ、進行した頭頸部がんの手術は大手術になることも多く、発声や嚥下障害などの合併症もあります。早期受診を心がけてください。治療の窓口は耳鼻咽喉科(がんセンターなどでは頭頸部外科)になることが多いです。
また、何より頭頸部がんにならないように禁煙を心がけて、過度の飲酒を避けるようにしてください。

11月

市立病院 放射線治療科 武井一喜 医師

放射線治療装置が新しくなります

当院では、現地に移転新築した1993年から、放射線治療を行っています。2006年には装置を更新し、これまでに5300人以上の患者さんに治療を行ってきました。しかし、治療装置・技術の進歩は急速です。現在の施設では、これからの新技術に対応した治療は困難なため、新たに治療棟を新築し、最新型の治療装置(リニアック)を導入することになりました。
新たな放射線治療装置は、一言でいえば高精度治療装置です。放射線治療は、放射線(リニアックではX線または電子線)を病巣部に当てるわけですが、呼吸などの体の動きや放射線自体の線量分布のために、周辺臓器にどうしてもかかってしまいます。そのために正常臓器の障害が問題となり、かけられる線量は限界ができてしまいます。高精度外照射では、線量の集中性を上げることにより、腫瘍への線量を減らさず(または増やして)、周辺の正常臓器への線量を減らすことで治療効果を上げて、副作用を減らすことが可能となります。
実際に、精度を上げるためには、治療装置の出せるビームのエネルギーの種類を増やし、照射の方向も現在よりも多くすることが必要です。照射の際にも、患者さんの治療姿勢を毎回ミリ単位で同じにする、毎回照射する部位が正確に合っているかX線で確認するなど、クリアしなければいけないことがたくさんあります。これらは一人の訓練のみでなく、治療技師、(がん放射線療法の)認定看護師、治療医師など多くの職種の力を合わせて可能となるものです。既に研修にも参加しており、個々のスキルアップを図り、早くこの新しい治療を必要とする患者さんに届けたいと日々励んでいます。

12月

市立病院 病理診断科 佐野健司 医師

病理診断について

「病理診断」とは何をするかご存じでしょうか。少し前に、TOKIOの長瀬さんが病理医を演じた「フラジャイル」というテレビドラマがありましたから、少しは世間に浸透しているかもしれませんが、まだまだ分かりづらいですね。
顕微鏡を使って、病気の診断を行うと言えば、少しは分かるかもしれません。
例えば、胃の内視鏡検査で、ポリープや潰瘍部位からサンプルを取ってきた検体を顕微鏡で調べて、そこにがんがあるかピロリ菌がいるかなどを調べます。ほとんど全ての臨床各科から提出された、病変部位からの検体が検査対象となります。
具体的には少し難しい用語が出てきますが、次のような検査を行っています。
•細胞診断(腫瘤性病変の穿刺や体腔液材料の良性、悪性の診断や病変の質的診断を行う)
•内視鏡検査材料などの生検材料組織診断(良性、悪性の診断や病変の質的診断を行う)
•手術で摘出された臓器、組織診断(手術材料の病理組織学的評価を行う)
•手術中の迅速診断(術中に切除範囲の評価や病変の質的診断を行う)
•血液系腫瘍や軟部腫瘍に対して必要と判断した場合に、遺伝子/染色体検査を追加して行う
•病理解剖(主病変の広がりや関連病変の評価を行って、死因の解明を目指す)
市立病院では、診断に必要な免疫染色、蛍光抗体染色、乳がんのリンパ節転移評価のための遺伝子検査法、悪性リンパ腫や軟部腫瘍の遺伝子検査などを積極的に行っています。また、信州大学や関連病院との相互通信による、virtual slide という病理画像を電子化したものを利用した遠隔診断を進めており、地理的なハンディを克服しています。