お化けや妖怪は恐ろしいです。それは、正体がわからないからだと思います。「不安」で体が固まります。「不安」はストレスとなり、自分の免疫力を弱め、病気への抵抗力も弱まってしまいます。
新型コロナウイルスも正体がわからず、自分が感染する不安、ご家族が感染する不安、休業などによる経済的不安、イタリアやスペイン、ニューヨークなどのようになってしまう不安など、多くの不安があると思います。それらの不安を少しでも解消できるように情報提供したいと考えています。
この感染症は、約8割は軽症で経過しますが、高齢者や基礎疾患をお持ちの方が重症化するリスクが高いことがわかっています。また、熱や咳等の症状がないが検査をすると陽性の方がいることがわかっており、軽症者やそれらの方が感染を広げると、感染拡大防止が大変難しいと考えられます。今後とも、社会全体で「重症化のリスクの高い高齢者や基礎疾患をお持ちの方への感染を防ぐこと」これが最も大切だと思います。
ただ、人間には、あらゆるウイルスや細菌から体を守る仕組みである「免疫機能」が備わっています。その免疫力をあげるためには、「十分な睡眠とバランスの良い食事で栄養を摂り、適度な運動や笑うことなどでストレスを解消すること」が大切です。
バランスのよい食事については、WHOから最近出されたアドバイスでは、①毎日、新鮮で加工されていない食品を食べる(生野菜や新鮮な果物からビタミンなどが得られます) ②毎日十分な水を飲む(毎日8~10カップ) ③適量の脂肪と油を食べる(脂肪の多い肉、バターを避け、不飽和脂肪(魚、アボカド、ナッツ、オリーブオイル、大豆など)をとる。トランス脂肪を避けること) ④塩と砂糖をあまり食べない ことなどが示されています。
また、ヨーグルトや乳酸菌飲料は、良質なタンパク質や脂質、カルシウム、ビタミン類が豊富に含まれ、整腸作用や免疫力を高める効果があるとされています。緑茶に含まれるカテキン類の抗ウイルス効果の指摘もされています。
更に、コロナウイルスが人体へ侵入する際に人細胞表面にあるACE2という酵素をターゲットにしてウイルスが取り付いて、細胞に感染する仕組みから、ACE阻害を示す食品(バージンオリーブオイル、緑茶、藻類、ブロッコリー、そばなど)の摂取を勧める意見もあります。
特定のビタミンや特定の食品を食べれば大丈夫。と言う意見には賛成しかねますが、毎日バランスよく食べる中に取り入れていただき、少しでも不安が少なくなって「安心」につながっていただければと思います。
『年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず』 劉廷芝(りゅうていし)
『毎年桜の花は同じように咲くが、ここに訪れてくる人の顔ぶれは毎年変わる』大自然や人間の諸行無常を詠んだ詩です。春になって一斉に咲く花々と、現在起きている新型コロナウイルス肺炎の脅威とのコントラストがとても大きく感じます。
一斉に咲き出した桜や水仙などの花は、私たちをどう見ているのでしょうか?可哀想と思っているのか、それすら思わず、ただただ咲いているのか。
それらの花が目に入らないほど、心が不安で覆われているとしたら、注意が必要だと思います。散歩やサイクリングは推奨されています。ラジオ体操も、ヨガなどのストレッチ、スクワットなどもよいと思います。国のホームページでは
・愛知県豊明市資料(とよあけ信長体操)
・奈良県生駒市資料(介護予防教室参加の皆さまへ(自宅でできる取組など)
・広島県資料(高齢者の皆さまへ~新型コロナウイルス予防+元気でいるために~)
などが紹介されていました。
「ステイ・ホーム(お家にいて)」というようなキャンペーンも始まっています。自宅でも運動不足にならないようにこれらを印刷して、身近な方に教えてあげてください。
また、手作りマスクの作り方が色々なこところで紹介されています。
自宅にいてそれを作る方、それを届ける方。それを受けとって使う方。それらの輪が広がったらとてもよいと思います。
最後に、私どもの病院を含め、医療機関や介護施設等では、院内感染を防ぎつつサービスを提供し続けるために様々な努力を行なっています。休日や夜であっても必要であれば集まって献身的に働いてくれています。それらの職員を預かる者として、どうか、そのように働いている現場があることを皆様に知っていただきたい。
そして、万が一「あそこのお家は病院勤務だからうつされたら大変」というような言葉が発せられたとしたら、職員や家族の心がどれほど傷つけられるか。逆に、「大変だけど頑張ってね。」そのひと言で、どれだけ勇気づけられることか。
どうか、我々を暖かく見守っていただきたい。よろしくお願いします。
病院からのお知らせ
皆でこの難局を乗り切るために(院長のつぶやき)
2020.04.08