適切な意思決定支援に関する指針

令和5年9月5日
令和6年9月 10 日
飯田市立病院

基本方針

飯田市立病院は、すべての患者が、その人にとって最善の医療・ケアを受けられるよう、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などの内容を踏まえ、患者とその家族等と多職種で構成される医療・ケアチームで適切な説明と話し合いを行い、患者本人の意思決定を基本とした医療・ケアを提供することに努める。

 

医療・ケアの方針決定支援

患者本人の意思が確認できる場合
  1.  患者の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明を行う。その上で、本人と多職種から構成される医療・ケアチームとの合意形成に向けた充分な話し合いを踏まえた本人による意思決定を基本とし、医療・ケアチームとしての方針を決定する。
  2.  時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更、患者や家族を取り巻く環境の変化等により、本人の意思が変化し得るものであることを考慮し、患者が自らの意思をその都度示し伝えることができるように支援する。
  3.  この過程の話し合い、意思決定については、その都度、文書にまとめておく。
  4.  患者の同意があれば、家族等に決定事項を伝え、家族等への支援も行う。

 

患者本人の意思が確認できない場合
  1.  家族等が患者の意思を確認していた場合や推定できる場合には、その意思を尊重し、患者にとって最善の方針をとる。
  2.  家族等が患者の意思を確認していない場合や推定できない場合には、家族等と充分に話し合い、患者にとって最善の方針をとる。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、検討の過程を繰り返し行う。
  3.  家族等がいない場合および家族等が意思決定できず医療・ケアチームに委ねる場合は、医療・ケアチームが医療・ケアの妥当性・適切性を判断して、患者にとって最善の医療・ケアを選択する。
  4.  治療方針に際し、家族等、医療・ケアチームが判断困難な場合は、担当の医師や看護師以外の医療・ケア関係者を加えたカンファレンスで、治療方針等について検討または助言を得る。
  5.  この過程の話し合い、意思決定については、その都度、文書にまとめておく。

※ 家族等とは、本人が信頼を寄せ、人生の最終段階の患者を支える存在であるという趣旨であり、法的な意味での親族関係のみを意味せず、より広い範囲の親しい友人も含み、複数人存在することも考えられる。

 

認知症等で自らが意思決定をすることが困難な患者の意思決定支援

障がい者や認知症等で、自らが意思決定をすることが困難な場合は、厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定ガイドライン」を参考に、出来る限り患者本人の意思を尊重し反映した意思決定を、家族や関係者、医療・ケアチーム等で行う。

 

身寄りが無く意思決定が困難な患者の意思決定支援

身寄りが無い患者における医療・ケアの方針についての決定プロセスは、本人の判断能力の程度や入院費用等の資力の有無、信頼できる関係者の有無等により状況が異なるため、介護・福祉サービスや行政の関わり等を利用して、患者本人の意思を尊重しつつ、厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る、意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」を参考に、その決定を支援する。

 

【参考資料】

・人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン
(厚生労働省 2018 年 3 月改訂)
・認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定ガイドライン
(厚生労働省 2018 年6月)
・身寄りがない人の入院及び医療に係る、意思決定が困難な人への支援に